ホンダ純正オーディオ「Ghaters(ギャザズ)」に新しく「ハイグレードオーディオ」がラインナップされました。
これは純正ナビゲーションに設定された車種別の音響設定「音の匠」と組み合わせることにより、より良いサウンドを楽しめるものです。
単純にスピーカーを交換するだけでなく、クルマごとに異なる車内音響特性を考慮したセッティングまでも行います。
今やスモールカーでも快適性が高い時代。
純正オーディオも良い音を楽しみたいニーズに応じて進化しているようです。
ホンダ純正オーディオの変遷
これまでのホンダ純正オーディオについてまとめてみましたが、年代ごとに特徴が出ています。
1970年代(ラジオ)
カーオーディオの萌芽(ほうが)は、1930年代にアメリカのカーラジオから始まり、国内では1951年にクラリオン(Clarion)が初のカーラジオを発売しています。
4トラックや8トラックのカーカセットデッキも開発・車載されていましたが、当時の主流はまだラジオでした。
1980年代(カセットテープ)
コンパクトカセットテープ(いわゆる、カセットテープ)が発売されると、車内でも自分で録音した音楽を手軽に楽しめるように。
その後、1982年に民生用、1984年に車載用のCDが発売されましたが、中心はまだカセットデッキでした。
異質な存在だったのが、CITYで採用された「ボディソニックサウンド」
シートに内蔵されたスピーカーで音を振動で感じるもので、CITY以外にも、フェアレディZ(北米向け)、ターセル・コルサ・カローラII、ロードスターなどに採用されていました。
面白い機能ではありましたが、ウケはイマイチだったようで…発展することなく廃れてしまいました。
1990年代(CD・MD)
CDの普及に伴い、それまでのカセットデッキに代わりCDプレーヤーがカーオーディオの主流となりますが、標準装着はカセットデッキというのが多く、CDプレーヤーやCDチェンジャーをオプションとして装着するケースが多かったです。
1990年代のもう一つのトレンドとしては、トヨタのスーパーライブサウンドに発した音響モード(DSP:デジタル・シグナル・プロセッサー)を内蔵した多スピーカー構成のカーオーディオです。
デジタル録音であるCDのメリットを活かしたDSPは、コンサートホールやスタジアムなどの音響効果をプラスして楽しめるのが特徴でした。
プレリュードの場合、各スピーカー配置はこのように。
車種別専用オーディオでは、ビートの「スカイサウンドシステム」のように、インパネ形状に合わせたデザインのオーディオが装着されました。
1990年代後半になると、MD(ミニディスク)がホームオーディオで普及し、その利便性から純正カーオーディオでも使われるようになりました。
CDからのデジタル録音や高い防塵・耐振性は、カセットテープに代わる記録メディアとしてカーオーディオに最適なメディアでした。
アヴァンシアはマイナーチェンジでカセットデッキからMDデッキに変更。他車種も同様にMDデッキとの組み合わせが増えました。
2000年~
カセットデッキは姿を消し、代わりにCDプレーヤーが標準となりました。
2001年にiPodが発売されからは、MP3などの圧縮音源が一気に広がり長時間再生が可能に。
CDは最大録音時間が74分なのに対して、MDは80分(MDLP2で2倍、MDLP4で4倍録音は可能だが、音質はかなり劣化)でしたが、MP3で保存すればCD-Rなら100曲以上となり、CDチェンジャーやMDが一気に衰退しました。
現在では、USBメモリやスマートフォンなどの、シリコンオーディオをBluetooth接続でき、ワイヤレス・シームレスでの音楽再生環境が充実しています。
ハイエンド・オーディオシステム
純正オーディオでは、ハイエンド・オーディオを採用した車種別サウンドシステムも多数存在しています。
特にBOSEサウンドシステムは、NSXをはじめレジェンド、インスパイア、アコード、オデッセイと多くの車種に設定されていました。
レジェンド(KA7~9型)は「TUNED by LUXMAN」
レジェンド(KC2型)はKRELL社のハイエンドシステム。
車内がスピーカーだらけ…
こうしたブランド・オーディオは車種別に開発・設計されているため高い完成度を誇りますが、市販モデルへの換装は困難を極めますので、使い続けなければならないというデメリットもあります。(一部はアダプターなどで対応もできますが…)
まとめ
時代と共に純正オーディオも変化してきましたが、ナビゲーションが一般的になった現在では、オーディオは一部の機能として組み込まれています。
市販モデルの「DIATONE SOUND NAVI」は、カーオーディオ単体モデルに匹敵する高音質ナビは、新たな付加価値を高めています。
今回のハイグレードオーディオシステムも、純正でも「いい音」を楽しむ一つの方法として提案されるものですね。